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革について
「硬くて重くて水に弱い」。それなのに何故私達は革に惹かれるのでしょう?最近では我々プロが見ても、一瞬本物と見間違えるほど精巧な合成皮革が存在し、それらは柔らかく、軽く、水に強く、時には圧倒的に安価です。しかし、本物の革には合皮に負けない魅力があるのです。優れた革製品は、使い手の要望に応えてくれます。時に、必要な箇所は必要な柔らかさを持ち、ニーズに応じて伸縮さえします。加えて革の圧倒的な魅力は、その存在感と温かみと言えるでしょう。作り手から見ても、供給量・価格は安定せず、個体差があり、傷・シワがあり、繊維の方向を気にし・・・やっかいな分だけやりがいのある仕事とも言えますが、これだけあるマイナス要素を補って余りある魅力を、革は持ち合わせているのです。
FREE BIRDでは主に”牛ヌメ革”と”エルクスキン(大鹿革)”を使用していますが、ここでは前者”牛ヌメ革”についてご説明しましょう。
「革」と「皮」
時にはプロでも混同している二つの言葉。どちらの「カワ」も動物の表皮ですが、生体から分離し何も加工していない物を「皮(skin)」と呼びます。皮はそのままでは腐ったり硬化して、使い物になりません。そこで、「なめし加工」を施し、「革(leather)」となります。「なめし加工」には大きく分けて2種類あり、人工的な塩基性硫酸クロームを使用した物を「クロームなめし」、植物由来のタンニンを使った物を「タンニンなめし」と呼びます。前者は軽く柔らかく仕上がり、短時間で出来、生産性が高いので現在ではほとんどの革がこの方法で作られています。後者は、手間暇が掛かり高価ですが、硬く丈夫で使い込むと独特の風合を楽しむ事が出来ます。自然素材を用いる事で環境にも優しいエコロジーな革、スローライフな革と言ってもいいかもしれませんね。
FREE BIRD では、主に牛ヌメ革(4ミリ〜1ミリ)を使用しています。
ヌメ革とは、植物性のタンニンで鞣し(なめし)ただけの革で、ラッカー等の表面加工をしていないので光沢はほとんどありませんが、革そのものの味わいがあります。そして、時間の経過と共に、使い込む程に風合を増し、自然な艶(ツヤ)が出てくるのです。
現在はオーストラリア産のブルハイドを国内のタンナーで仕上げたもの、ドイツヌメ、アメリカンオイル等の革を厚みや用途によって使い分けています。
半裁単位で取り寄せるので、この大きさ!個体差もありますが、大きなものは2.5m×1.2mくらいあります。
この革の呼び名、日本では「ヌメ革」、アメリカ等英語圏の国では「サドル(鞍)レザー」と呼ぶのが一般的で、本来は同じ物のようです。二つの名称を敢えて使い分ける場合は、ヌメ革はなめしてそのまま、サドルはヌメを軽く磨いて、少し艶をだして変化を付ける事があるようですが、厳密な基準はなさそうなのでタンナー(なめし工場)やブランド、ショップによって呼び方が違っている場合があります。
写真左)ヌメ革そのまま。製品はこの色です。
写真中央)約3ヶ月使用後。使い手によって差がでます。
写真右)約1年使用後。この頃には自然なツヤが出ています。
ヌメ革とは前述したとおりピュアな状態ですので、色の経年変化も特徴です。当方で「ナチュラル」と呼んでいる染色していない革の色の変化を左の3枚の写真で御確認下さい。
いかがですか?見慣れない人にとっては、ビックリするくらいの変化でしょ!?この後、数年で飴色・焦げ茶色に変化します。この色の変化は、説明にあるように使い手によって異なるのです。そして、それが愛着につながってくるのです。ほとんどの商品を染色していないのは、じっくり永く御愛用頂き、革本来の風合の変化をお楽しみ頂きたいからです。
約2週間の"日焼け"前後
革製品、特にヌメ革の魅力は、長年の仕様・経年によって革の風合が増してくる事にあると言われます。特に、当方で主に使用する牛ヌメ革は、その性質上経年変化が大きく(「革について」ページ参照)、時に持ち主の個性をも表現します。上記の写真は、お得意様からの御注文でお作りしたヌメ革のハンティング帽ですが、使用前にオイルを塗り、窓辺で日焼け(お手入れページ参照)させるという工程を約2週間(夏場)施してくださったそうで、"我が子"との驚きの対面となりました。大切に使って頂けるのは作り手としても嬉しいものですし、革製品その物も貴方の愛着に応えてくれることでしょう。
何と言っても素材が命です。ヌメ革は、前述の通り何ら表面加工していない革なので、キズ・染み・汚れをごまかす事が出来ません。だからこそ、革の原価も高価になりますが、永年使い込んだ時の風合には他の革には代え難い魅力があります。”作り手も、気合の入る革”と言えるかもしれませんね。製品は、完成後にミンクオイルを表面に塗ってから、お渡しします。このオイルは、革に栄養分(潤い)を与え、防水(防汚)の役割も果たします。
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